バイマンスリーワーズBimonthly Words
こころの免疫力
~ 消毒しすぎると免疫力が下がります ~
「そもそも生き物は全身に常在菌を持っており、
その菌が病気から体を守ってくれているのです。
洗いすぎるとかえって病気にかかりやすくなります。」
感染免疫学者の藤田紘一郎氏は行き過ぎの行動に警鐘を鳴らす。
ウイルスをやっつける「免疫」には二種類あります。
一つはどんなウイルスや細菌も攻撃する「自然免疫」と、
もう一つは、かかった病気の抗体をつくる「獲得免疫」です。
「自然免疫」は生まれながらに身体に備わった免疫システムで、
どろんこ遊びなどが自然免疫を高めるには有効とされます。
小さな子どもは自然と触れ合い思う存分外で遊ばせて、
大人も土や泥に触れることで免疫力が上がるという。
人間の免疫をつかさどっている臓器は「腸」であり、
免疫細胞の70%が腸でつくられているといわれます。
この腸内を活性化するのが野菜や果物などの食物繊維と、
味噌や納豆、チーズなどの発酵食品にあると藤田氏はいう。
新型コロナウイルスは自然免疫に弱いとされているので、
何よりも腸を鍛えておくことが感染予防の第一歩。
まずは自然免疫の力を高めるようにしましょう。
獲得免疫は 経営ノウハウに進化する
一方の「獲得免疫」は病原体に感染することで得られる免疫で、
武器となる「抗体」をつくることで病気を治していきます。
ワクチンとは、獲得免疫の抗体を利用した薬剤のことで、
免疫力が落ちていればワクチン接種で感染もするし、
発症する可能性もあるということです。
西洋のチェスと日本の将棋の大きな違いは、
相手の駒を取れば、その駒は用済みになるチェスに対し、
将棋は相手の駒を「持ち駒」に変えて攻めることができます。
獲得免疫とは、相手の力を味方にする将棋の持ち駒に似ています。
カレー専門店「CoCo 壱番屋」を創業した 宗次徳二氏は、
毎朝5時前から1千通もの“お客様アンケート”を読みました。
多くは「美味しかった」「サービスがいい」とお褒めの内容でしたが、
中には「がっかりした」「二度と利用しない」との厳しい意見も。
しかし“クレームハガキはファンレター”と考え、
指摘された点を改善し、お客様へ丁寧に返信しました。
誰もが嫌がる、お客様のクレームと真剣に向き合ううちに、
クレームを武器に変え、経営ノウハウにしてしまったわけです。
まさに、攻めてきた相手の駒を持ち駒にして、
「獲得免疫」の強い力に転換させて攻めたわけです。
それは ~陰 極めれば 陽~ の法則に沿ったものであり、
“弱み”を“強み”に変化させた戦略だといえるでしょう。
ところがこのような逆境をバネに変えるプラス発想は、
頭で理解はできますが、現実的ではありません。
ましてコロナ禍の今、“災い転じて福となす”
などと、軽々しく語る心境にもなれません。
つらい仕事も「覚悟」をすれば楽しくなる
藤田氏は免疫細胞の70%は腸でつくられるが、
残りの30%は「心」の中でつくられているという。
楽しいことをやって充分な睡眠をとれば免疫力は高まるが、
不安やイライラのストレスが増えると免疫力は確実に低下します。
経営者の仕事とは最もストレスのかかる職業の一つです。
取引先との関係づくり、社内の人間関係や労務管理、
業績が低迷してくると、資金繰りにも追われます。
どれも複雑で面倒で、できれば誰かにやって欲しい。
一方では、部門の経営を任されたのに、いつも遠慮気味で、
自ら意思決定をしようとしない幹部社員がいます。
また、経営トップを引き継ぐのが明らかなのに、
自信が持てず、悶々とした日々を過ごす後継者もいます。
それはいったい何故なのか?
一言でいえば“ 覚悟が足りない ”のではないか…。
言い換えれば「こころの免疫力」が高まっていないのではないか。
「覚悟」とは何でしょう?
覚悟とは、最悪の事態を自分の中に受け容れることであり、
「覚悟が決まらない」というのは、
最悪の事態におちいる自分を認めたくないのです。
覚悟をして「こころの免疫力」が高まれば人生は変わります。
現状の厳しさや与えられた環境を運命として受け入れ、
将来に対する不安や迷いもス~ッと消えていくでしょう。
そして、嫌々だった経営の仕事も楽しくなるに違いありません。
経営者の幸せはどこにあるのか
経営者が楽しく仕事をするようになれば、後継者も幹部社員も
「自分も早く経営がしたい!」と思うようになります。
しかし、不安やストレスでつらそうに仕事をしていると、
誰も腹の底からこの会社の経営をしたいとは思わないでしょう。
こう考えると幹部社員が育たないのも、
後継経営者がなかなか現れてこないのも、
経営トップの問題であることがわかってきます。
しかし、あなたは何も悲観することはありません。
どんな経営者も重圧だらけの日々を過ごしています。
重圧をどう感じ、どう解釈しているかの違いにすぎません。
経営者の幸せはどこにあるのか…。
その答えは意外にもあなたの近くにある。
それは「幸せだ!」と感じる“心”があるだけ。
そう考えると、ふと気づくことがある。
これまでの人生、失敗もたくさんあったが、
どれほど多くの人に支えられ、生きてきたのだろう。
私はなんと幸せで、有難い経営人生を歩んでいるのか…。
オリンピック・パラリンピックはどうなるでしょう。
どちらに転んでも莫大なる経済的な損失が待ち受けている。
選手生命をかけ訓練を積んできたアスリート達の心境はいかに…。
こころの中で世界トップレベルの「覚悟」を決めていることでしょう。
今やどこにでも置かれているあの消毒液。
そこには「うつるのが怖い…」という思いと、
「他人様にうつさない」という“仏心”もあります。
何か見えない力で、史上最大の集団接種が始まりますが、
一人ひとりの「心と身体の免疫力」で収まることを祈ります。