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株式会社新経営サービス

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バイマンスリーワーズBimonthly Words

見えない力

2009年07月

今回の新型インフルエンザは自然に発生し、広がったものなのか?
弱毒性にもかかわらず、近畿地方を中心に宿泊などのキャンセルが続出し、
旅行、交通、小売業界は大打撃を受けるという、経済的な破壊力は強いものでした。
今回の騒動は、もしかすると誰かが意図的に開発をし、流行させたものかも知れません。

全世界に警告を発するWHO(世界保健機関)の真意は何なのか。
真実はどうであれ、新型インフルエンザを甘く考えることは危険です。
いずれ日本にやってくる本格的なパンデミック(大流行)から大切な社員を守り、
“見えない敵”を想定した防衛戦略も必要になるでしょう。

それは、いざとなれば社員が出社できなくても生産が可能で、
インターネットなどを活用してお客様との対面なしで販売できるノウハウです。
「そんな大げさな…」と思われるでしょうが、油断は禁物。
本当の敵は”油断をしているあなたの心”に潜んでいるかも知れません。

油断をさせる”本当の敵”の正体は何か。
それが”驕り”ではないでしょうか。
増長する感情は、経営者の脇を甘くし、経営判断を鈍らせます。
経営者の判断ミスのほとんどが”驕り”にあると言っても過言ではありません。

では”驕り”はどこから来るのでしょう?
それは自分の可能性を信じる”自信”に始まります。
“自信”が必要以上に堆積されると、”過信”となり、
過信が質的変化を起こして”驕り”に変質するのです。

見えないけれど何かが存在する

ところが、驕るどころか不況の影響で”弱気”になった経営者が少なくありません。
過去にどれほどの成功した人であっても、底のみえない業績不振が続くと自信を失う。
「俺はこの程度の人間だったのか…」
自信喪失は、自分への不信を助長し”気力”の低下を招きます。

コンピューターや機械を動かす源が”電力”ならば、
人間が智恵を使い、活動する源は”気力”にあります。
経営者は、大不況などで一時的に業績を落としても、
智恵の働きや行動の源となる、気力まで低下させてはなりません。

では、気力を高める具体的な方法はあるのでしょうか?
景気が回復し、業績が上向くことが最も手っ取り早いでしょうが、
これは他力依存で、すぐに元に戻るので根本解決にはなりません。
中国の気功やインドのヨガなども良さそうですが、結果には個人差があるでしょう。

金子みすゞの代表作「星とたんぽぽ」に、その秘訣が隠されています。

青いお空のそこふかく、
海の小石のそのように、
夜がくるまでしずんでる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬものでもあるんだよ
…… 後略

感謝とは目に見えない力を感じること

金子みすゞ は大正末期から昭和初期に活躍した童謡詩人。
放蕩の夫に対する抵抗心から、娘を自分の母に託すことを懇願する遺書を遺し、
26歳の若さで自らの命を絶った不遇の人でした。
この詩には、人間の気力が高まる秘密が込められています。

私たちが目にしている現象の裏側には、
見えないけれども”何か”が存在しています。
それは、敵かもしれないし、味方かもしれません。
“見えない存在”を知ることができれば、どんなにいいでしょう。

社長自らトイレ掃除を続け、業績をあげた企業も少なくありません。
イエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏はその代表格。
たしかに掃除をすれば気持ちがいいし、整理整頓は仕事の効率も上がります。
しかし、なぜ掃除が業績向上につながるのか、どう考えても辻褄が合いません。

前向きな姿勢で掃除をすれば、新たな気づきや発見があります。
トイレがピカピカの状態なのは、利用する側からすれば当たり前のこと。
ところが自分の手で掃除をすれば、そこには様々な人の努力や苦労があることに気づきます。
掃除には”見えない力”を感じ取る特殊な力が磨かれる、そんな効果があるのではないでしょうか。

感謝とは「見えない力を感じること」であり、
見えない力に感謝をすれば、上司や部下の素直な力が、
あなたの身体に急速充電されるように、ギュ-ンと吸収されていくでしょう。
「見えない力」に気づくことは気力を充実させる最高の方法だったのです。

人間の可能性は無限

“血気盛ん”という言葉があるように、血液と気力は人間の根本を形成し、
特に”気”は、大気、天気、空気など宇宙を形成する根源になっています。
漠然とした状態を数値などに置き換えることを、近年は「見える化」と言われますが、
人間の”気力”を「見える化」させることは、非常に難しい。

サン・テグジュペリの童話「星の王子さま」に、
印象深い言葉が残されています。
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ

大切なことは、目に見えない……。
作者が主張しているのは、金子みすゞ の作品と同じ。
元気さ、本気さ、といった人間の”気”は、
見るものではなく、心で感じることかも知れません。

会社が順調な時でも、経営者は最悪の状態を想定し、
どん底の状態における対策を考えておくことが大切です。
かといってマイナス思考に陥り、最悪を招くような発言は慎みましょう。
企業のリーダーは、自ら種を撒き、水をやり、可能性を追求する姿勢を貫きましょう。

人間の可能性は無限です。
感謝心を忘れない人には、無限の力が味方をしてくれます。
どれほど厳しい状態に追い込まれても、何度も何度も這い上がる粘り強い力。
“見えない力”は自分で作るのではなく、あなたの周りにすでに存在しているのです。

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