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バイマンスリーワーズBimonthly Words

なんとかなる

2022年05月

~ 身体の冷えは 心の冷えから ~
昔から東洋医学では「冷えは万病のもと」とされ、
便秘や肩こり、不眠などは冷え症が原因とされてきました。
そんな身体の冷えは、心の冷えが根本にある、という人がいます。

整体師の 植屋浩幸さんは施術中にこんな話を聞きます。
「上司からパワハラを受けている」
「子供が不登校になって困っている」
「私は頑張ったのに父は一度もほめてくれなかった…」

身体の不調を訴える患者さんは、たいてい心の問題を抱えている。
植屋さんによると、この「心の冷え」が姿勢をゆがめ、
食生活が乱れて血流が悪くなり、慢性的な腰痛や、
肩こりなどを引き起こしているといいます。

そして、このような人の多くが、
過去に対しては恨みを持ち、
現実に対しては不満を抱き、
未来に対しては不安を抱えているという。

仕事上の失敗や、人生で挫折した傷は深く残ります。
過去を整理し、再出発するのは容易ではありませんが、
失敗から立ち直り、再起した人は口を揃えてこう語ります。
「過去の失敗や挫折があったおかげで、今の自分があります」

経営の世界は思い通りにならないことが多い。
経営者の心の冷えは、最悪の事態にも発展します。

倒産の原因は経営者の心の中にある

「倒産者は100%死を考える。しかし、絶対に死を選んではならない。
本人は本当に苦しいが、家族の苦しみはもっと苦しい」
倒産した人を救済する「八起会」を創設した 野口誠一氏は、
自らの失敗経験を通じて人の命を救い、再出発の支援を続けました。

企業はなぜ潰れるのか、どんな経営者が潰すのか…。
再起のコツは何か、第二の人生をいかにして踏み出すか。
住所不定で健康保険もない“夜逃げ”は絶対にしてはならない。
倒産するにも金がいる等々、生き抜くための「倒産学」を確立しました。

「倒産の原因は不況や競合ではなく、会社の内側にある。
じつは好況のとき、儲かっているとき、楽なときが一番危ない。
つまり倒産の原因は外部環境ではなく、経営者の心の中にあるのです」
これが、野口氏が打ち出した「倒産学」の結論です。

これからコロナ禍に区切りをつけた本格的な経済再生が期待されますが、
中小企業の倒産や廃業の不安は、このあと本番を迎えるでしょう。
そこへ覆いかぶさるようにウクライナ危機が迫ってきており、
今こそ組織一丸でこの危機に立ち向かう必要があります。

ところが、社内の問題を抱え、まともな経営ができない企業も多い。
幹部や後継者の経営姿勢に不満を訴える経営トップがいたり、
問題山積の組織を預かることに、納得できない後継経営者もいる。
問題社員の多い部門を、嫌々ながら担当する管理者も少なくありません。

組織を不満の温床にしてはなりません。
それは社員全員の心を冷やしてしまいます。

真っ暗闇であっても 解決の光は存在する

室町時代の禅僧「一休宗純」は、天皇の子でありながら、
謀略の末に出家の身となり、不遇の人生を歩みます。
置かれた境遇の中で厳しい修行に取り組みましたが、
禅僧の堕落ぶりに疑問を抱き、悶々とした日を過ごします。

そして、真の悟りを求め生涯の師と仰いでいた高僧と20歳で死別し、
悲嘆した一休は来世で教えを請おうと、真冬の川に身を投じます。
しかし、それもあえなく未遂となり、新たに得た師と共に、
極貧の生活をしていた最中、ついに運命の瞬間が訪れます。

真夜中に琵琶湖畔で座禅を組んでいた一休。
辺りはもちろん真っ暗闇…
ふと、一羽のカラスが「カア~」と鳴いた。
その瞬間、一休は大きな気づきを得ます。

「見ようとするから見えないのだ。何も見えなくてもカラスはいる。
仏の姿もしかり。仏は、自分自身の心の中にいる!
己の中にある仏の心のままに生きよう」
これが26歳の一休がたどり着いた“悟りの境地”でした。

問題ありだと思い込んでいた社員は、本当にそうだろうか?
そんな社員を育てることに管理者のやりがいがあるのではないか。
課題山積の組織を改革するのは、後継経営者として最高の訓練なのに、
何がいったい不満なのか、腰が引けているだけではないだろうか…。

これまでの人生が失敗や挫折の連続で、
真っ暗闇であっても、どこかに光は存在する。
今、置かれている状況が最悪のように思われても、
現状を打破する方法は必ずどこかに存在します。

過去に対する恨みが、ふとした気づきで「感謝」に変化し、
現状に対して抱いていた不満が、ありがたいと感じる瞬間がある。
そんな小さな気づきが、“悟り”になり、人生は大きく好転に向かう。
さあ、あとは未来に対する不安をいかに払拭し、「希望」に転換させるか…。

「今」を真剣に生きれば「なんとかなる」

一休禅師は亡くなる直前に弟子たちへ、
「このお寺がどうしようもなくて困った時にこれを開けるように」
と、一通の手紙を遺しました。そして、
「それまでは絶対に開けてはならない」と言い残してこの世を去ります。

数年後、お寺に大変な問題が起き、弟子たちが手紙を開けると、
そこにはこう書いてありました。
「大丈夫 心配するな なんとかなる」
弟子たちは唖然としたが、寺の問題はなんとか無事に解決したという。

過去はもうここにはない、未来も今は存在しない。
あるのは永遠に続く「今」があるだけである。
「今」を真剣に生き抜く姿勢があるならば、
どのような人生であっても「なんとかなる」ということか…。

経営トップが、幹部や後継者に不満を抱いているなら、
その感情は間違いなく全社員の心の中に広がっていきます。
幹部社員と後継経営者の今後の可能性を心から信じてみましょう。
この会社は俺でなければできない、というのは思い込みにすぎません。

不平や不満は組織全体の心を冷やしてしまう。
自ら周りの人の心を温める存在になりたいものです。
~ 暗いと不平を言うよりも 進んで灯りをつけましょう ~(「心のともしび」 より)

八起会は現在、世話人制度で運営されていますが、
世話人と会員の総意により「会長」は 野口誠一氏です。
YouTube などで在りし日の野口会長の講演を聴くことができます。
「なんとかなる」とは思いますが、倒産学を学んでおくのもいいでしょう。

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