バイマンスリーワーズ

出藍の誉れ

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

国際情勢が真っ二つに分かれています。
保護主義を掲げて守りに入ったトランプ政権と、
今世紀に入ってから急発展を続けてきた習近平体制。
技術覇権、軍事覇権をかけた二大国家がにらみ合う構造です。

保護貿易を進める米国か、ハイテク技術で覇者をめざす中国か、
両国の間に位置する日本はどちらに向かって進むのか...。
自由貿易を前提にした日系メーカーと関連企業は、
大きな戦略転換の必要性に迫られています。

もう一つ、中小企業には難題となる変化があります。
国内の市場ではインターネットが欠かせない存在ですが、
そこへ今後5年~10年でAI(人工知能)が本格導入される。
つまりAIによるハイテクの流れにどう対応するのかという問題です。

AIロボット、自動車の無人走行、キャッシュレス決済が進み、
これまでの常識は破壊され、アナログ人間は孤立してしまいます。
中国は今後10年間でAIを経済成長の重要な推進力にするとして、
'30年にはAIの基幹産業だけで1兆元(約17兆円)を目指すという。

18世紀後半の産業革命は、人類の経済活動を根本から変えましたが、
今回の人工知能革命は、それを超える大きな変化になるでしょう。
私たちは今、間違いなく大きな歴史の転換点に立っています。


受ける人が走りやすいようにバトンを渡す


時代が大きく変わる時はリーダーが交代する時でもあります。
経営のバトンタッチは人生で一回きりの重要なテーマ。
そろそろトップ交代を、と考えておられるなら、
バトンタッチの方法を考えておきましょう。

日本チームが銀メダルの偉業を成し遂げた、
リオ五輪男子400mリレーは嬉しかった記憶です。
日本選手一人ひとりのスピードは外国選手に見劣りしますが、
"改良型アンダーハンドパス"という方法で弱点を克服しました。

米国などの選手は上から下への"オーバーハンドパス"で、
渡す距離は短縮できるが、受け取った人の加速が遅れてしまう。
一方の"アンダーハンドパス"は加速しやすい状態で受け取ります。
それは受けた人が走り易くなる、相手を思いやる心から生まれました。

中小企業におけるバトンタッチの現実は難しい。
経営のバトンを握ったが、離してもらえない...とか、
肩書きは変わったが実態は全く変わらない、といった声も多い。
優秀な経営者から見ると、どんな若者も頼りなく見えるのか...。

「まだまだ頼りない」と心の底から思うなら、
交代のことなど一切口にしない方がいいでしょう。
後継者が頼りない、と感じる理由はハッキリしています。
それはあなたが元気であり、まだまだ経営をしたいからです。

大好きな経営を現役でいつまでも続けていく...。
こんなに幸せで、ありがたい人生はないでしょう。
しかし、未知の感覚ながらもっと幸せな世界があったなら、
あなたはどのように行動するでしょうか?


失敗を恐れて何もしないと 人生そのものに失敗する


「出藍の誉れ」
~青は藍より出でて 藍より青し~(荀子)
藍の葉で染めあげたものは、藍よりも美しい青になる。
教えを受けた者が、教えた師よりも優れていることをいう。

わが社の人材が成長し、活躍するのは本当に嬉しい。
しかし、何よりも崇高で、極上の幸せを感じる喜びがある。
それは、自ら育てた人物が自分を超える人物になることだという。

バトンを渡した時点では、その人の可能性はわかりません。
まして後継者候補にすぎない人なら、全く未知数です。
後進の人には充分な権限を与え、実践を通じて苦労をして、
いかにして壁を乗り越えるかという経験をさせるのがいい。

特に人の問題で悩み、辛い経験をするのがいい。
給料や賞与の決め方で悩み苦しみ、試行錯誤を繰り返す。
懸命に人材育成に取り組むが、なぜか一人二人と辞めていく...。
そんな経験を何度も繰り返すが、それでもあきらめずに挑戦する。

「最悪だ」と思う状態から這い上がってくる経験が、
腹の底から湧いてくるような自信を生むのです。
目先の少しばかりの業績をあげた自信には、
過信や驕りを生みだす危うさをはらんでいます。

若きリーダーは失敗を恐れてはなりません。
失敗を恐れ何もしないと、人生そのものに失敗します。
後継者は「バトンを渡してもらえない」と愚痴をこぼさず、
いつでも受けられるように準備をしておきましょう。
トップの肩書きがなくても経営はいくらでもできるのです。


藍染めの美しさは20年後に表れる


大阪万博の開催が決定したのは明るい話題でした。
決定までには関係者の並々ならぬ努力があったでしょう。
ところが一部のマスコミではこんな酷評もあります。
「決定会場はオジサンばかりで若者も女性もいない...」

国内情勢も前回の万博からはガラッと変わっています。
EXPO'70の経験者が「あの夢をもう一度」ではいけない。
当時、官僚でリーダーシップをとった堺屋太一氏は30歳でした。
ネット社会の今、パビリオンに人を集める企画を誰が考えるのでしょう。

シニア層が元気に働くことは大いに価値がありますが、
若いリーダーの判断に口をはさみ、挑戦の芽を摘んでいないか...。
新しい環境の将来は、若いリーダーに描いて欲しい。
リーダーシップのある女性も活躍できる職場であって欲しい。

藍染めは人間と同じように「生きている」といわれます。
染めてから数年は赤味を帯び、落ち着くまでに5年ほどかかる。
10年で深みのある色が定着し、真に美しい青になるのは20年後だという。
ベテラン経営者になっても、大自然の営みから学ぶ話は尽きません。

優秀な中小企業経営者が周りを見渡した時、
自分以上の経営者はもう出てこない、と思いがち。
しかし、後継者が力をつけ、輝いている姿を見るために、
評価をあせらず、じっくりと見守るガマンも必要なのです。

今年は元号が変わり新しい時代になります。
天皇陛下が「上皇」になり、新天皇が即位される。
諸々の問題はあったようですが、みごとなバトンタッチ。
平和国家を訴え続けた平成天皇の願いが継承されることを切に願います。



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[2019.1]

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